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ゴヤの名画「裸のマハ」の謎ー実際のモデルは誰なのか?

スペインの映画 “Volavérunt”(邦題は「裸のマハ」)。内容や映像は、最初から最後まで暗く、ストーリーや人間関係などもドロドロの愛憎劇です。
テーマも、例のごとく、女の愛と嫉妬です。が、スペインの映画らしく、舞台の宮殿、ゴヤの芸術、映像など、本当に美しい作品(もはや芸術)です。


裸のマハ [DVD]

そして、ペネロペ・クルスがとても綺麗です。やはり彼女は、ハリウッド映画よりも、母国スペインの映画に出ていた頃が一番光っていると、個人的には思います。

まさにDuende(妖しい魔力・魅力)を持っていると感じる女優の一人です。

ちなみに、彼女が出演するスペイン映画「ベル・エポック」もオススメです。

監督はこのブログではお馴染みの(「マルティナは海」や「ハモンハモン」の)愛と官能の巨匠ビガス・ルナです。舞台となるのは、19世紀(1802年)スペインの宮殿。ただ、この作品、はっきり言ってテンポは遅いし、監督の説明不足や作り方自体に問題があり(おまけに人間関係も複雑なだけに)内容も分かりにくいので、予備知識なしで観ると、辛いものがあるかもしれません。スペイン国王カルロス4世、王妃マリア・ルイーサ、皇太子フェルナンド7世などといった細かい歴史的な知識までは必要ないと思いますが、映画は19世紀を代表するスペインの宮廷画家フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco José de Goya y Lucientes, 1746-1828)の作品「裸のマハ」の周辺で起こった愛憎の策略劇を描いているので、ゴヤは勿論、(宮廷画家として彼を雇った)マヌエル・デ・ゴドイとその人間関係(とくに彼の愛人との関係)くらいを押さえておけばよいのではないかと思います。

以下の二重の展開になっています。

①”裸のマハ”の謎-実際のモデルは誰なのか。

ゴヤと言えばまず思い浮かぶのが「裸のマハ」と「着衣のマハ」ですが、このモデルの女性が誰なのかは、なんと、未だに不明です。様々な説があるのですが、とくに有力な説として、当時の首相マヌエル・ゴドイの愛人であった二人の女性が挙げられます。一人は、アルバ公爵夫人・カイエターナ。ですが、ここで問題なのが、ゴヤの描いた“裸のマハ”の女性には、カイエターナには当てはまらないある特徴が描かれているということでした。

で、二人目の有力説として、ゴドイが寵愛していたもう一人の愛人ペピータが挙げられます(実際に、マハの絵の女性はペピータに似ているといいます)。映画では、モデルとしては、ペピータ(ペネロペ・クルス)が扱われるものの、実際に完成した絵の女性はアルバ公爵夫人・カイエターナ(アイタナ・サンチェス・ギヨン)であるといった微妙な展開になっています。

②アルバ公爵夫人の不可解な死の謎-自殺か他殺か。

まずゴドイさんについて簡単に紹介しておくと、天下の「総理大臣」という肩書きを利用して次から次へと愛人をつくるという、女性にとっては許し難い存在といえます。すべての不幸や事件の原因もこの人にあると言っても過言ではありません。ちなみに、この映画でゴドイを演じるのは、「ハモンハモン」や「マルティナは海」でも紹介したジョルディ・モリャです。ゴドイの愛人としては、たとえば、王妃マリア・ルイーサは勿論ですが、王妃と並んで社交界の華であり、当時絶大な権力を持っていたアルバ公爵夫人・カイエターナ(アイタナ・サンチェス=ギヨン)、権勢を強めるための政略した花嫁、そして、自分好みの情婦ペピータ(ペネロペ・クルス)が挙げられます。勿論、ほかにもたくさんいます。

結果として、彼の愛人の女性間では嫉妬と憎悪が渦巻くのです。こんなドロドロした人間関係と状況の中で、ゴヤがマハの絵を書き上げた直後にゴドイの愛人の一人であり、「マハ」のモデルとしても有力な女性(映画では完成した絵の女性)であるアルバ公爵夫人・カイエターナが不可解な死を遂げてしまったからもうたいへん!自殺説だけでなく他殺説まで浮上する始末。ゴドイの女癖の悪さが災いして、他の愛人の女性たちが疑われても仕方がないという状態になってしまうのです。

物語は、こうしたアルバ公爵夫人の死(毒殺事件として扱われます)の真相を導き出すべく、①で書いたモデルの女性の謎とともに、複雑に展開していきます。

おそらく多くの人が退屈するほどわかりにくい映画なのですが、だれもが目を奪われるのではないかというシーンがあります。ゴドイの愛人の一人である情婦のペピータ(ペネロペ・クルス)が、アルバ公爵夫人・カイエターナ(アイタナ・サンチェス=ギヨン)にダンスを挑むシーンです。

凛とした気品漂う表情で、情熱的なまでに真っ赤な口紅をつけたペネロペがアイタナを下からジロリと睨んで、「なによこんな女!(身分としては負けても、女としては負けないわよ!)」と言わんばかりに強気な態度で彼女らしい妖艶で独特な踊りをみせます。このシーンのペネロペがとても美しいです。相手は自分(情婦)よりも身分が上の女性(貴族)とはいえ、まったく引けをとらない美貌、存在感、気品。

内容はともかく、映像の雰囲気、ゴヤに関する美術や衣装、そして、何よりもペネロペ・クルスがとても美しいので、何度でも観たくなるスペイン映画の一つです。

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