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【文は人なり】文章に見える4つの「頭の良さ」とは?
目次
隠せない偽れない「本当の頭の良さ」
レポートや論文、ネットなどを通して、文章を書くことが増えると同時に、文章を読むことも増えました。
リアルに面識のある人同士であれば、普段のコミュニケーションの中で、お互いについて十分に理解し合えることが多いと思いますが、面識がない場合は、ネットや書籍などを通してでしかその人のことを知り得ません。
視覚的・聴覚的にも訴える映像(テレビや動画など)であれば、よりリアルに近い形で鮮明に伝わるものがありますが、特に文章(文字情報のみ)の場合、書き手の情報量が少ないほど、相手のこともつかみにくくなると思われます。
でも、「文は人なり」と言われるように、確かに、文章を読むと(面識がない人でも)その人に関する色々なことが見える(ある程度、人物像をイメージすることができる)と思っています。
例えば、人柄、雰囲気、性格、タイプ、人格、心、思想、人生観、価値観、哲学、個人的な嗜好、経験など。
とは言え、勿論、文章の主旨・目的・テーマやプラットフォーム等によって、内容や質なども変わるので、必ずしも文章だけを見て、その人のことを100%判断することはできないとも考えます。
特に、試験(大学受験や採用試験などの小論文や志望理由書など)の場合、以下の引用の言葉にもあるように、文章は必ずしもその人のことを「ありのままに」示すものではないからです。
試験に合格するために、採点者に好意的に見られるように自己演出したり、本心とは全く異なることを書く場合もある(あってもいい)と思います。
私は、これまで書いてきた通り、
「文は人なり」という常識からそろそろ脱するべきだと考えている。
そうした私の提唱する文章理念を、
「文は人なり」という言葉をもじって言えば、
「文は自己演出なり」となる。
文章はありのままの自分を示すものではない。
人生の結果を示すものでもない。
むしろ、自分をどのように見せたいかを決めて、
「見せたい自分」を演出するのが、文章だ。
つまりは、化粧のようなものだ。
文章を工夫し、知的な自分や真面目な自分や個性的な自分を演出する。
そして、自分もアピールする。
それが「書く」という行為なのだ。
(樋口裕一「ホンモノの文章力ー自分を売り込む技術」)
でも、文章を書く(文章を構成する)過程で、「どうしても隠せない・偽れないもの」はあると私は思っています。
それは、特に「頭の良さ」だと考えます。
と言っても、ここで言う「頭の良さ」というのは、単に「勉強ができる・賢い」などという意味ではありません。
「頭の良さ」の定義は、人によって色々あると思いますが、個人的には、外面だけではなく内面的な要素(頭と心)も含めて広く捉えています。
「勉強ができる」≠「頭が良い」
多くの人は、頭の良い人=勉強ができる(偏差値が高い、一流大学出身者、試験で高得点が取れる人など)というようなイメージを持っていると思います。
確かに、「勉強ができること」(学力)も、頭の良さの一つ(必要条件)ですが、このような見方は、一面的な(外面的・表面的な)捉え方に過ぎないとも考えます。
個人的に思う「頭の良さ」の定義については後述しますが、勉強ができても「頭がいい」とは限らないし、逆に勉強は苦手でも「頭がいい」人は、世の中にたくさんいると思っています。
「勉強」と言っても、(仕事や趣味やスポーツなども含めて)あらゆる分野があり、「頭の良さ」に関しても、学校の勉強や試験だけでは測れないからです。
本当の「頭の良さ」は試験の数値だけでは測れないもの
私は、文章を通して、以下の4つの「頭の良さ」が見えると考えます。
文章に見える「頭の良さ」4選
【頭の良さ②】知性(読書力・知識力・語彙力など教養及びその処理能力)
【頭の良さ③】人間力(性格・心など人格や人間性)
【頭の良さ④】徳(人徳、学徳、智徳など倫理や道徳)
以下、順番に、具体例を挙げて見ていきます。
【頭の良さ①】知力
学力、知力、知性などは、似たような意味がありますが、それぞれ別の力として、以下のように捉えています。
「知力」(あらゆる知的能力)※後述します
「知性」(知力を土台に、知識や情報等を処理する力など)
その中で、とりわけ、文章を通して見える(文章を構成する上でどうしても隠せない・偽れない)と考える「頭の良さ」は、知力と知性です。
まず、「知力」とは、以下のような、あらゆる知的能力だと考えます。
文章に見える知力10選
2、表現力(自分の言葉で表現する力、書く力・文章力など)
3、洞察力(本質を見抜く力、目に見えていない部分を察する力、情報の真偽を見極める力など)
4、理解力(読解力、推測力、主旨の把握力など)
5、分析力(物事の問題の所在、原因や背景を把握・整理する力など)
6、読書力(読解力、着眼点、引用力など)
7、創造力(新しいものを創る力)
10、文脈力※(文と文/言葉と言葉を繋ぐ力、意味をつかまえる、場の空気を読む力など)
他にも色々あると思いますが、少なくとも上述したような「知力」はいずれも、(学校教育に限らず)主に勉強、学問、読書などを通して、後天的に身につけることができると考えます。
【頭の良さ②】知性
知性とは?
上述したように、知性とは、「あらゆる知力」(思考力や表現力など)を基にして、知識や情報等を知的に処理する(言語化する・伝える)力だと捉えています。
知性は、文章を構成する過程において、顕著に反映されると思っています。
知性(教養)を身につける方法
2、勉強・学問をする
3、尊敬できる師から学ぶ(先生や書籍などから知識を得る)
4、色々な価値観を持つ人と交流する(多様な価値観を受容する)
5、自分の世界や視野を広げる
→映画、音楽、芸術、文学、スポーツ、旅など、好きなことの幅を広げる。
6、(1〜5などで得た知見を基に)アウトプットする
→ブログ、SNS、ノート、手帳などアウトプットできるツールを持つなど。
【頭の良さ③】(知力や知性・教養に基づく)人間力(EQ)
IQとEQの違い
IQ(Intelligence Quotient)は「知能指数」
EQ(Emotional Intelligence Quotient)は「心の知能指数」
「頭の良い人」とは、知力と共に、人間力も備えている人だと思っています。
(勿論、個人の気質や生まれ育った環境などに起因するものも多いと思いますが)人間力は、教育、あるいは、上述した「知力」や「知性・教養」などに基づいて変化する場合も多いからです。
例えば、文章において、以下のような人間力が垣間見えると考えます。
文章に見える人間力13選
2、謙虚さ(おごらない、自惚れない、慢心しない、偉ぶらない態度など)
3、常識(普遍的・社会的なルール、思慮分別など)
4、バランス(心や感情・思考・理性など、自己の内面をコントロールする力など)
5、人間理解力(他者への思いやり・愛情・配慮・包容力・共感力など)
6、コミュニケーション能力(他者と言葉や心を交わす力など)
7、柔軟性(多様な価値観を受け入れる、多様性を尊重するなど)
8、多面的な見方(多角的に物事を捉える)
9、自分軸(心根や芯の部分がしっかりしていることなど)
10、人間的魅力(人の心を惹きつける魅力など)
11、人格・人間性(人となり、人柄、品格や品性など)
12、人間的な器(度量の大きさ、寛容さなど)
13、自己形成力(自分を作る力、自分を変える力、なりたい自分に近づいていく力など)
勿論、他にもたくさんあると思います。
本当の知力・知性とは、知識のあることだけではありません。
「知」(判断力):知識があるだけでなく、大事な本質を捉えた判断ができるか。
「仁」(誠意):人に対して、誠意、思いやりを持った対応ができるか。
「勇」(行動力):実際に行動を起こすパワー、勇気があるか。
「知仁勇」をそなえるには、志と情熱が必要なのです。
第一の格言 本当の頭のよさは「知(判断力)」「仁(誠意)」「勇(行動力)」で作られる。
(斎藤孝『本当の頭のよさ」って何だろう?』より)
本当の「頭のよさ」ってなんだろう?: 勉強と人生に役立つ、一生使える ものの考え方
【頭の良さ④】徳(人徳、学徳、智徳、道徳)
上記の「頭の良さ」①〜③を身につけている人は、自ずと徳を積んでいると考えます。
個人的に、「本当に頭の良い人」とは、学徳のある人(学も徳も両方身につけている人)だと思っています。
人としての徳
「何か一つでもいいから、よき技、よき習性を身につけたいものであるが、
なかでも勤勉の習性は、何にもまして尊いものに思われる。」
「勤勉は喜びを生み、信用を生み、そして富を生む。
人間のいわば一つの大事な徳である。」(松下幸之助)
「徳」とは、天分、精神の修養、社会的経験や道徳的訓練によって獲得できる、
②均整のとれた精神の在り方。
であり、例えば、人間に備わる徳(人徳)として、気品、思慮、理性、謙虚、自信、誠実、忍耐、温情、勇気、正義、忠誠、名誉、健康などがあります。(Wikipedia参照)
ほとんどの人徳は、努力や訓練などによって、誰もが身につけることのできるものだと思います。
徳を積む方法
②身につけた能力や技術を人のために使う。
③他人を大事にする。
(相手の気持ちを考えて行動/発言するなど)
④スポーツや武道で心身を鍛える。
⑤よい習性を重ねる(勤労、勤勉など)。
など、徳を積む方法は、色々あると思いますが、「勉強すること」(勤勉)も、徳積みの一つだと捉えています。
勤勉の徳
「学べば学ぶほど、自分が何も知らなかった事に気づく、
気づけば気づくほどまた学びたくなる。」
(アルベルト・アインシュタイン)「勉強する事は自分の無知を徐々に発見していく事である。」
(ウェルデュラント)
勉強すればするほど、自分があまりにも無知だということ、知らないことばかりだということに気づかされます。
でも、その反面、知りたいという気持ちが強まり、知らなかったことを知る喜びや学ぶ楽しさにも気付くことができます。
結果として、勉強を続けることによって、知識や技術、知性や教養だけではなく、思慮、理性、自信や誇り、品格、忍耐そして、謙虚などのあらゆる徳も備わっていくと考えています。
学徳の大切さ
「実るほど頭の下がる稲穂かな」
(稲の穂は実が入ると重くなって垂れ下がってくる。)
=「学徳が深まると、かえって他人に対し謙虚になることのたとえ。」
(「デジタル大辞泉」より)
ということわざがありますが、この言葉の意味やその大切さを痛感させられています。
「謙虚になる」という意味について、人によって色々な解釈があるかもしれませんが、個人的には、以下のように捉えています。
②自分とは異なる価値観を受け入れ尊重する
どんなに勉強を頑張って徳を積んだとしても、他人を大切にできない(傲慢や尊大になったり、驕り高ぶって横柄な態度を取ったり、人を見下したり、馬鹿にしたり、他人の心や名誉を傷つけたりする)と、それだけその人の徳は下がると思います。
徳を備えた人間は、
「他の人間からの信頼や尊敬を獲得しながら、人間関係の構築や組織の運営を進めることができる。」
(Wikipedia)
とあるように、例えば、学校や職場などの指導者(上司や先輩や先生など)に関して言えば、多くの人が尊敬し信頼を寄せ、ついていきたいと思うのは、少なくとも、人としての徳(とくに謙虚さ)を備えている人だと思っています。
そのような人に出会う度に、学徳(知識だけではなく、人徳/道徳も兼ね備えていること)の大切さを痛感させられます。
【関連記事紹介】
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「大物的な上から目線」10選=尊敬される&好かれる
「小物的な上から目線」10選=軽蔑される&嫌われる
徳の尊さ
「人間として一番尊いものは徳である。」
(松下幸之助)
どんなに徳が高く、人間関係や組織を上手に運営できている人でも、それを永久に維持できるとは限らず、(SNSやブログなどを含む)その人の言動次第で、善くも悪くも変わるものでもあるので、それだけ人間にとって、徳は尊いものであるということにも納得できます。
まとめ
文章に見える4つの頭の良さ
【頭の良さ①】知力(思考力・表現力・分析力など知的能力)
【頭の良さ②】知性・教養(読書力・知識力・語彙力など及びそれらの処理能力など)
【頭の良さ③】知力、知性・教養に基づく人間力(人格や人間性)
【頭の良さ④】徳(人徳、学徳、智徳など倫理や道徳)
「運を高めていくためにはどうすればいいか、徳を積むことである。」
(松下幸之助)
私も、勉強・学問を通して、知力や知性だけではなく、人間性も磨きたいと思っています。
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